
かったりする場合もありますので、全ての人に有効というわけではありませんが、一度ならずとも検討してみる価値は充分にあります。
特定贈与信託で贈与税の大幅な軽減を図る
必要資金の確保の仕方はおおよそこんなところです。
では、その資金をどの様に運用して行けば良いのかについて少しみていきましょう。
まず生前贈与の際、年間60万円の基礎控除や住宅資金贈与の特例などが利用できることともに、もうひとつ重度障害者のための制度として「特定贈与信託」についても前述しましたが、これについて具体的にみてみましょう。
家族や個人が重度障害者に定期的に金銭を贈与したい場合、予め一括して金銭を銀行などに預け、自動的に年金式に払い出しをしてくれる、「特定贈与信託」という制度があります。
信託契約ということから、運用・管理の引受けは信託銀行。この制度の最大のメリットは、特定贈与信託の契約を結んで資金を贈与する場合、6,000万円までの贈与は非課税になるという点。
つまり、仮に、3,000万円のお金を一括で重度障害者の子どもに贈与するとしても、特定贈与信託として信託銀行に預ける限りは贈与税はいっさいかからないということです。(表30)
このメリットは特筆ものでしょう。
ただしデメリットもあります。この制度の全国の取扱い件数がまだ少ないとのこと。
なぜかと調べてみると、やはり知られてないということもありますが、一度信託した財産はその受取人である重度障害者本人が死亡するまで、解約などによる払い出しができないという、仕組みの上での問題点もその一因としてあるようです。
つまり、何かしらの理由で、特定贈与信託に一部を換金しようとしてもできないということです。確かにデメリットといえばそうでしょうが、それを踏まえたうえで信託可能な金額を決めて利用するのが、こうした解約できない商品を利用する際の鉄則。予め子どものため以外には使わないと決めているお金を預けるには、有効な手段の一つと言えます。
表30 特別障害者に対する贈与税の非課税(特別障害者扶養信託契約)

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